三月三日は、ひな祭りだ。
銀河の里の特養では、昨年利用者さんより歴史ある素敵な雛壇を寄贈していただいた。
(詳細については、あまのがわ通信2010年5月号をご参照ください…)
そして、そのおひなさまに会える季節が、また今年もやってきたのである。
雛壇の赤い布を包んでいた新聞紙は昭和55年の物。
人形が納められているブリキの缶には、
「鹸石トツベルベ」「ンオイラ」・・・???
右からの表記のロゴ!!
屏風が納められていた木箱には、昭和7年と書いてある。
お人形の顔はどれも小ぶりで、眼はほっそりと、上品な顔立ちだ。
そしてこの雛壇の特徴は、お雛様ばかりではなく、
五月人形や、昔話から飛び出した1シーンのお人形、さらには
当時のさまざまなおもちゃが一堂に飾られることである。
まさにタイムカプセル!
ショウノウの香に包まれながら、みんなでワイワイタイムスリップしながら飾り付けていく。
古く、少々不気味さも漂わす一体のお人形さんを抱きながら、
「かわいいごど…」
と愛でるはコズエさん(仮名)。
そ、そんなにかわいい?と思ったこっちを察してなのか、
「粗末にしなければ、祟られるということは無い。…信じて下さい。」
と穏やかに言い諭す(笑)
遠巻きに見ていたいつも粋なサエ子さん(仮名)も、
「お雛様を大事にできない家では、自分の子も、大切にされるような子には成れないんだよ。」
と語る。
「小さい頃を思い出すね…」とリンゴを持ってきて供えてくれるのはチエさん(仮名)。
お供えの、白酒、雛まんじゅう、きりせんしょを作ったことを懐かしそうに話す。
雛壇を囲んで、それぞれのひな祭りにまつわる思い出語りに花が咲く。
囲むみなさんと同じくらいの長い年月を重ねてきたこの雛壇。
大切に大切にされながら、ここまできた。
昔はもっと艶やかだったであろう色合いも、くすんでしまってはいるが、
なんとも言えない、い〜風格があって、みんながうっとりそれに浸っている。
雛壇にこめる思いは、
一般にはこれから育っていく子供たちへの思いだけれど、
この雛壇を前にすると、お雛さまと同じ程の歳を重ねて生き抜いてきた利用者さんへの思い
にも重なって行く。
みんながこれからも大切に大切に過ごしていけますように…
今年も改めて、この雛人形を寄贈して下さった伸一さんサエさんご夫婦(仮名)に、
どうもありがとうございます。
【特養 前川】